アスリートのたんぱく質摂取の考え方・パート6
はじめに
前回はたんぱく質の1回摂取量について復習に近いお話をしました。今回は引き続き、良質なたんぱく質の1回摂取量の持続性と理想的な摂取タイミングについて考察したいと思います。
目次
・タンパク合成を高める食事とは?〜1回摂取量とタイミング②〜
・おわりに
◆タンパク合成を高める食事とは?〜1回摂取量とタイミング②〜
まずは前回のおさらいからスタートします。
1回の摂取量ごとに10g×10回、25g×4回、50g×2回を6時間の間にそれぞれ摂取した場合、25g×4回の摂取が、最も筋タンパク合成が良かったという研究を紹介しました。
たんぱく質の摂取量に適量があることは以前から紹介していますが、時間あたりに同量の摂取量になるよりも1回で必要量をとることは重要なようです。また、筋タンパク合成への刺激は3〜4時間程度持続するという根拠からも6時間で2回の摂取では十分な刺激を与えたとしても、刺激の効果が喪失してしまい、結果的には筋タンパク合成は十分でないことが明らかになりました。
一方で十分でない刺激を何度繰り返しても相乗的に上がるわけではないことは、10回に分けて摂取することで筋タンパク合成が悪かったことからも明らかです。
結果的に現在のスポーツ科学をまとめると、適量の良質のたんぱく質を3〜4時間おきに摂取することが良いということになりそうです。適量は20〜40gということですから、若年のアスリートが食べる1回の食事のたんぱく質量は適量以上の摂取量となることも多く、現在の食事をうまく配分して間食として摂取した方が良いかもしれません。
例えば、お弁当を一気に食べてしまうのではなく、授業の間の休憩時間を使いながら、複数回に分けて食べるというのもその一つと言えるでしょう。
一回に食べることができる強い「食事力」に目がいきがちですが、胃腸のことや筋肉のことを考えると適量に分けて、食事回数を増やすと良いでしょう。
◆おわりに
これまで多くのたんぱく質の取り方を紹介してきました。
摂取量、タイミング、そして種類、これらをパズルのように組み合わせることで本当に理想のたんぱく質摂取ができるようになります。非常に専門的な知識を有することですが、だからこそ、高度なアドバイスを受けて摂取できるかが大きな差になるのかもしれません。
単独の栄養素に焦点を当てることは、あまり良いこととはいえません。しかし、専門的で深い栄養素であるからこそ、アスリートはたんぱく質摂取に注目しているのかもしれません。おそらく正しいたんぱく質摂取ができることは大きな差をつけるチャンスと考えているのでしょう。
皆さんはたんぱく質摂取をどのように考えますか?それでは、たんぱく質摂取の深いお話はこのくらいで、次回以降は、また別の話題にしますのでお楽しみにしてください。