アスリートの糖質摂取の考え方・パート10
・はじめに
・糖質の摂取量を考える パート2
・おわりに
本文
・はじめに
引き続き、糖質の摂取量を話題にしていきます。
前回は摂取量を考える上で基本中の基本でもあるエネルギーに対する摂取割合のお話をしました。この考え方は、一般の方の食事にも対応ができるため、選手だけでなく、家族の食事にも当てはめて頂ければと思います。
今回は、選手向けの基準をご紹介したいと思います。IOC(国際オリンピック委員会)が発表しているコンセンサスで、糖質の摂取量の目安です(図参照)。すでにご存じの方も復習していただければと思います。
・糖質の摂取量 パート2
IOCのコンセンサスですので、単に日本人選手だけではなく、国際的な基準として世界中のあらゆる競技者で参考とされています。すなわち、体格や競技種目の枠を超えての基準となります。
たんぱく質摂取も体重あたりの摂取量で示されていますが、糖質も種目特性や練習量に合わせて、体重あたりの摂取量が示されているのがこのコンセンサスの特徴になります。例えば、一般的な競技者であれば、1日に体重1㎏に対して5~7gの糖質摂取量が望まれます。体重が70㎏であれば350~490gということになります。これを前回の指標でもあるエネルギーの摂取割合に当てはめ、3000kcal/日を摂取したとすれば、413~488gの糖質摂取になるため、摂取割合で考えても70㎏の人が3000kcal以上をバランスよく食べていれば不足がないということがわかるかと思います。
一方、持久的なトレーニングをする場合、体重1㎏あたり7~12gとその範囲が少し多くなります。持久的なトレーニングでは多くのエネルギー消費が多くなるため、摂取量が多くなることはもちろん、比較的、体重の軽めな選手も多くなるため、体重1㎏あたりの摂取量が増えてきます。しかし、例えばマラソン選手などは、多くのエネルギー摂取も必要となるので、よほどバランスの悪い食事をとっていなければ、上述の一般的な選手と同様に大きく不足することはないでしょう。
ただし強化合宿などで長時間の練習をする場合は、体重1㎏あたり10~12gと下限も高い値となりますから、そういった場合は注意が必要かもしれません。
また、運動直後の速やかな回復を考える場合、回復時間に応じて、摂取量が変わります。1時間につき体重1㎏につき1gの糖質摂取量が必要といわれています。あまりに短時間の場合は、この摂取量をとると十分に消化しきれない可能性もあるので、もう少し減らした量でも良いかもしれません。
・おわりに
最後にこの糖質摂取量の考え方の良い点は計算が比較的しやすく、身近な数値である体重を基準にしていることだと思います。選手の皆さんも自身の体重は把握していると思いますので、炭水化物(糖質)の栄養表示は必須項目ですので、補食や食事の準備の際には栄養表示の確認をしてみてはいかがでしょうか。また、自分がどのくらいの練習量であるのか、どういった競技特性があるのかが把握できず、どの数値がわからないかがある場合は、身近な栄養の専門家(栄養士など)に尋ねるとよいでしょう。
2019年03月28日 09:30