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アスリートの糖質摂取の考え方・パート9

糖質の考え方9
目次
・はじめに
・糖質の摂取量を考える パート1
・おわりに
 
本文
・はじめに
 糖質摂取は正義か悪かという話題から始まり、糖質摂取についてのコラムもいよいよ終盤に差し掛かりました。最近、一般書籍では、糖質摂取、インスリンの過剰分泌と肥満(病的)の関係について言及しているものがあります。功罪については、初回で述べていますので、そちらを見て頂ければと思います。
 
 そういった話題図書もある中で、競技者目線、病的な肥満解消ではなく、あくまでも「勝つ」という視点でこのコラムは引き続き書いていきたいと思います。
 
・糖質の摂取量を考える パート1
 さて、栄養学は難しいと感じている人は多いかもしれませんが、食事のポイントは、「質(内容)」「量」「タイミング」の三要素に分けることで、非常に理解しやすくなります。
 これまでの糖質摂取は「タイミング」という視点に重きをおき、運動前、中、後ということでそれぞれの考え方をお伝えしてきました。今回のコラムでは、「量」について取り上げたいと思います。
 
 「量」といっても、体格だけでなく、運動量や運動の種類が異なれば、糖質摂取の「量」は、当然ですが大きく異なります。では、どのように考えるのが適切なのでしょうか。
 
 一つ目の考え方として、摂取しているエネルギー量に対する糖質の摂取割合という考え方があります。「PFC比」という言葉をご存知でしょうか。PFCとは、それぞれ「たんぱく質」「脂質」「炭水化物(糖質)」の英語の頭文字で、三大栄養素(エネルギー産生栄養素)と言われるエネルギーの材料となる栄養素を指しています。1日摂取するエネルギーに対する栄養素の割合を示したものが「PFC比」となります。
 一般的な競技者では、「たんぱく質(P)」が12~20%、「脂質(F)」が20~30%、「炭水化物(C)」が55~65%程度が望ましいとされています。一般的な和食はこの基準の範囲に比較的収まっていることからも、和定食のような形をイメージすると良いかもしれません。一方、洋食などでは、脂質の摂取割合が比較的高く、糖質の摂取割合が低くなることがあります。
 
 1980年のCostillらの研究(図参照)では、糖質摂取割合の高い食事と低い食事の2パターンで、筋肉グリコーゲン量がどのように変化するかを調べた研究があります。毎日2時間のトレーニングを行った場合、高糖質食群ではグリコーゲンが毎日回復しているのに対して、低糖質食群では、日に日に筋肉中のグリコーゲンが低下していることがわかります。
 グリコーゲンの低下は、運動中のエネルギー不足を起こすだけではなく、筋肉の分解を増やしてしまう可能性があることはこれまでにもお伝えしています。運動で消耗したエネルギー源は可能な限り、その日のうちに回復させていくことが、日々の練習の効率、効果をあげることはもちろん、連日のトーナメント大会のような試合での競技成績に影響することはいうまでもないでしょう。
 
・おわりに
 このように1日のエネルギー摂取に対する糖質の摂取割合が極端に低いことは、グリコーゲンの回復という観点で良くない影響があります。しかし、一般的な和食は高糖質食に近い理想的な糖質摂取を可能とします。
 和食文化をもつ日本人選手は、すでに食のアドバンテージを持っているかもしれません。選手のために新たな食事や料理を準備しなければいけないと思うと、意外と負担になるのではないでしょうか。実際はそんなことはなく、家族が同じ食事を食べていても選手に必要な食事を準備することが可能なのです。この機会に和食(特に定食型の食事)を見直してみてはいかがでしょうか。
2019年03月07日 09:30