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アスリートの糖質摂取の考え方・パート4

目次

・はじめに

・グリコーゲンローディングは必要か?否か?

・おわりに

 

本文

・はじめに

 前回は、グリコーゲンローディングの概要について詳細に触れました。グリコーゲンローディングを行うことで、体内にどのような変化が起こるかということは知っていただけたかと思います。

 身体の変化として2点おさらいしておきましょう。グリコーゲンローディングが成功した場合、①グリコーゲンが通常時の約2倍に増える、②同時に水を貯蔵するため体重が2〜3kg増える、という変化が起こります。

 では、この変化について、競技力という面から、グリコーゲンローディングの必要性について考えましょう。

 

・グリコーゲンローディングは必要か?否か?

 まずは、グリコーゲンの特性を知る前に貯蔵場所について復習です。グリコーゲンは肝臓と筋肉に蓄えられています。成長期が終わった成人と仮定すると、肝臓は一般人もアスリートもそう大きさに大差はありません。多少の大きさの違いはあるかもしれませんが、全身の筋肉量の差に比べたら、非常に小さくなります。一方、筋肉量は個体差が大きく、筋肉量が多い人ほどグリコーゲンの貯蔵量も多くなることから、グリコーゲンローディング後の貯蔵量の増加具合は筋肉量にある程度比例することになります。

 

 では、一般的に通常時のグリコーゲン量でどの程度のエネルギー量を貯蔵しているのでしょうか。答えは、「約1000kcal」です。もちろん、全てを運動だけに使うわけではありませんし、グリコーゲン以外に脂質を「数万kcal」蓄えているので、単純にはいかないことは言うまでもありません。

 しかし、練習では数時間かかるスポーツでも、試合時は数分あるいは断続的に數十分という競技がほとんどではないでしょうか。

 

 例えば、野球を例に挙げましょう。野球の試合は約2時間程度かかりますが、実際は、攻守の切り替わりがあり、攻撃中はもちろん、守備中でも動きの少ない野手は多くいるはずです。2時間常に動いているわけではありません。また、攻撃中には多くの選手で栄養補給を行うことができる環境にあります。

 このような競技の場合、すぐにエネルギーに変わるような糖質を随時補給することで、試合終了まで体内のエネルギー源のみで十分な競技能力を維持することができるでしょう。

 

 では、サッカーはどうでしょうか。サッカーは45分ハーフで90分、延長までいくと最大2時間の運動になります。また、サッカーは芝生の関係で試合中にスポーツドリンクを飲むことはできません。グリコーゲンローディングを行うか否か難しいところではありますが、サッカーも断続的な動きが多く、常時動き続けることがないため、体内のグリコーゲンとその他エネルギー源でやりくりをすることができるでしょう。もちろん、試合前に最低限通常時の最大量まで回復しておくことは必要になります。

 

 グリコーゲンローディングが必要とされる代表的なスポーツといえば、「マラソン」でしょう。約2時間を動き続けることになり、もともとの貯蔵グリコーゲンと走行中の栄養補給のみでは、1レース分のエネルギーには不足しているといえます。ただし、あくまでも競技者レベルで一定以上の速度で走っている場合に限られます。なぜなら、脂質もエネルギー利用できる場合は、前述の限りではないからです。従って、市民ランナーレベルの場合は、グリコーゲンローディングというまで張り切る必要はなく、まずは、自分の最大限の糖質量まで回復させるという意識でいる方が、当日の失敗のリスクを考えながらするより、気分的にも走ることに集中できるかもしれません。また、トップランナークラスでもコースによりますが、トラック1万mくらいであれば、体重のお守りを考えると、通常の運動前のエネルギー補給で良いのではないかと思います。

 

・おわりに

 以上のように、グリコーゲンローディングが必要なケースは案外限られているかもしれません。運動愛好者の方が見よう見まねでやることも悪くはないですが、本当にグリコーゲンローディングができているのか、そして必要なのかの見極めは、是非、栄養の専門家のアドバイスを受けてもらえればと思います。

 私個人の考えにはなりますが、競技別にいえば、マラソン、トライアスロン、自転車ロードレース、クロスカントリースキー、概ねこの競技に準ずるような競技に限り、グリコーゲンローディングは有効なように思います。また、競技レベルに関しても比較的高い競技者に限られるのではないかと考えています。

 グリコーゲンローディングを考える前に、まずは、日常の疲労回復は十分かどうか、そして、自分の持てる通常時の最大限まで回復できているかどうかに注目して、試合前の糖質補給を考えてもらえればと思います。

2018年11月01日 09:30