アスリートの糖質摂取の考え方・パート3
目次
・はじめに
・グリコーゲンローディングとは?
・おわりに
本文
・はじめに
パート1、2を通じて、糖質摂取のメリット、デメリットについてお話しました。まだ、糖質摂取を最小限にするべきかどうかの議論は、結論に至っていないというのが現状でしょうか。
そういった中で、やはり根強い糖質摂取メソッドが「グリコーゲンローディング」です。名前を聞いたことがないと言う人はこのブログも読まないと思います。しかし、知っているようで意外と正しく知られていないので、今回はグリコーゲンローディングについてご紹介したいと思います。
・グリコーゲンローディングとは?
「グリコーゲンローディング」は、試合や競技会に合わせて、体内に貯蔵されているグリコーゲンを最大限に高めるための糖質摂取の方法です。グリコーゲンは、肝臓と筋肉に貯蔵されていますが、グリコーゲンローディングを行うことで、通常時のおよそ2倍程度の貯蔵量まで増やすことができます。
「グリコーゲンローディング」の方法ですが、古典的な方法として、目標とする試合などの1週間前に3日程度、糖質摂取量を減らし(糖質摂取割合の少ない(エネルギー比約15%)食事摂取)、体内のグリコーゲンを枯渇させ、その後、糖質摂取量を大幅に増やし(糖質摂取割合の多い(エネルギー比約70%)食事摂取)、リバウンド効果で、体内のグリコーゲンを超回復させるものがあります。しかし、この方法は食事制限も厳しく、枯渇時のコンディションが悪くなりやすいことから、近年では、試合の1週間前は通常通りの食事をして、3日程度前から高糖質食に切り替えるとともに、トレーニング量を徐々に減らしていくことで、体内のグリコーゲンの貯蔵量を増やすという方法がとられています(図 参照)。
いずれの方法でも体内のグリコーゲン量は、通常時より多くなるため、試合開始時に多くのエネルギー源を蓄えてスタートすることができます。
体内にグリコーゲンが豊富にあるとだけ聞くと、メリットしかないように聞こえますが、グリコーゲンローディングには、大きな落とし穴も隠れています。グリコーゲンローディングに成功すると、グリコーゲンを貯蔵するのに必要な「水」も体内に溜まります。グリコーゲン1gに対して3gの水が必要といわれています。グリコーゲンローディングをした際には、前後で約2〜3kgの体重増加が起こります。
体重が重さになるため、体重増加がかえって競技能力を損なう可能性もあることは知っておかなければなりません。また、グリコーゲンローディングをしているはずなのに、体重が増えていないとなれば、そのグリコーゲンローディングは成功ではないかもしれません。
・おわりに
以上がグリコーゲンローディングの概要になります。グリコーゲンローディングを行うべきか否かについては、次回解説をしたいと思います。意外と糖質を多く食べればいいんだろうと考えているだけの方にも多く出会います。決して、グリコーゲンローディングはそのような単純なものではなく、場合によっては競技力を損なう可能性もあることをこの機会に知ってもらえればと思います。