株式会社Feプロ-食育コンサルティング-

ジュニアアスリート専門!正しい知識と習慣で勝てる身体が手に入る

メインビジュアル

ホームブログページ ≫ アスリートの糖質摂取の考え方・パート1 ≫

アスリートの糖質摂取の考え方・パート1

目次

・はじめに

・糖質は正義か?悪か?

・おわりに

 

本文

・はじめに

 最近は、身体づくりの主役であるたんぱく質摂取についてお話をしてきました。これまでにもお伝えしたことになりますが、身体づくりのためには、身体づくりの材料のほか、身体を動かすためのエネルギー源が十分に摂取できているかが重要になります。

 今回からは、身体を動かすエネルギー源の中心となる糖質に焦点を当て、糖質の必要性についてお話をしていきたいと思います。

 

・糖質は正義か?悪か?

 最近は、この議論が専門家の中でも真っ二つに別れており、色々な講習会でお話をしても栄養に関心がある指導者や保護者の方から質問で聞かれます。

 

 糖質の必要性を話し始める前に根本的なこの議論にお答えしなければ、糖質について語ることはできないでしょう。

 では、気になる答えについてですが、正直にお答えにすると、「わかりません!」。

 

 無責任と感じた方もいるかと思いますが、今の科学的なエビデンスで言えば、明確な回答がないというのが実際のところです。

 エビデンスという観点でお話をするならば、個人差があるので、良いか、悪いかは個人で判断をして、個人の責任で色々と自分にあった方法を選んでもらえればと思います。

 自分の講習会の中では、良い、悪いは伝えず、自分で考え、選択することの大切さを伝えて、それぞれの方法論の注意点だけをお伝えしています。

 

〜糖質は「正義」か?〜

 では、糖質が「正義」の場合はどのように考えるのでしょうか。エネルギー源になる栄養素は、「糖質」、「脂質」、「たんぱく質」があるわけですが、「たんぱく質」は身体づくりの材料にしたいわけですから、エネルギー源にしたくない、「脂質」は有酸素性のエネルギー源として爆発的なエネルギーとして不向きかつ、「脂質」をエネルギー源とするためには、「糖質」由来の物質が必要なため、「糖質」はエネルギー源としても「脂質」のエネルギー源として必須であるから、糖質制限はするべきではないという考え方があります。

 さらに、「糖質」を摂取した際には、「インスリン」という血糖調整ホルモンが分泌されます。「インスリン」は血中の様々な栄養素を組織中に取り込むことを刺激します。そのため、リカバリー(回復)をするためには、必須のホルモンであり、疲労回復のためには「糖質摂取」は必須であると考えられています。

 多くのスポーツでは、今現在もこの考え方が主流であり、国際オリンピック委員会を始め、多くのスポーツ栄養のガイドラインで、糖質摂取量は十分に確保に努めるべきであると記載されています。

 

〜糖質は「悪」か?〜

 上記を見ると、そもそもなぜ、「糖質」は悪かという議論が出てきたのでしょうか。古くを言えば、糖尿病の病態改善のための食事が「糖質制限食」です。この糖質制限食がいつからかスポーツ界にも応用されてきたのが最近の現状です。有名なアスリートとしてはサッカー日本代表の長友選手でしょう。「ケトン体」をエネルギー源として利用して、持久能力がこれまで以上に改善されたと注目をされました。「ケトン体」とは「脂質」からできる代謝産物で、身体が飢餓状態(血糖値が下がってきたとき、空腹時)の時にエネルギー源とするために血中に増えてくる物質です。すなわち、体内に豊富にある体脂肪をエネルギー源とするため、体脂肪を増やさないという観点でもアスリートに向いているとされています。では、脂質を燃焼するために必要な「糖質」由来の物質はどうしているのかというと、「糖質制限」と言いつつも完全に除去するのではなく、最低限必要な回復をして、体内のグリコーゲンから最低限賄える状況を作ろうと考えています。

 さらにこの考え方には続きがあり、先ほど紹介した「インスリン」ですが、血中の様々な栄養素を組織内に取り込むため、血中脂質も体脂肪を増やす原因になるため、必要以上に「インスリン」を分泌しなくて済むという考えもあります。

 過度な「糖質制限」は推奨されませんが、この「ケトン体」を利用できる身体に変えていこうとアスリートの間でも流行の兆しが見えるのが、糖質を「悪」とする考え方といえるでしょうか、全面的な「悪」ではありませんが。

 

・おわりに

 細かな研究を出していくときりがありませんが、このように糖質摂取については議論が真っ二つに別れているところになります。

 これまで長くスポーツ現場に携わってきましたが、結論として、自分の指導現場では、まだ糖質は「正義」として活動をしています。もちろん「悪」の否定はしませんし、「糖質制限食」に関する指導もオーダーや必要に応じて指導することもあります。

 しかし気をつけなければいけないことは、少なくとも万人に「糖質制限」は評価できるものではないこと、体の成長が止まっていない選手には少なからず不向きではないかと推測しています。

 

 自分で学び、考え、選択するという行動こそが、一流のアスリートだと思います。一番危険なことは〇〇選手がやっているから自分もやってみようと若い選手が正しい知識もなく挑戦してしまうことです。

 是非、挑戦する前に正しい情報収集をしていただければと思います。

2018年09月20日 09:30