🌟基礎栄養学講座パート3🌟
はじめに新年、あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。
さて、前回のコラムでは、「たんぱく質」についてお話しました。
今回は運動時のエネルギー源として重要な「炭水化物」の働きや機能についてお話したいと思います。
本年も引き続き、知っているようで知らない基礎栄養学の世界をお楽しみください。
目次
・炭水化物とは?
・おわりに
◆炭水化物とは?
その1 炭水化物の働き
炭水化物の主な働きは活動時のエネルギー源になることです。しかし、意外と知られていないのは、厳密には「炭水化物=糖質」ではないということです。
エネルギー源になる炭水化物ですが、大別すると「糖質」と「食物繊維」に分けることができます。「糖質」はグルコースを中心に1gあたり約4kcalのエネルギーになるのに対して、「食物繊維」は1gあたり0〜2kcalとされています。したがって、運動時のエネルギー源としては、「糖質」の摂取量を考える必要があります。本コラムで食物繊維は取り上げませんが、食物繊維には様々な生理作用がありますので、とらなくても良いという訳ではありません。
その2 糖質の消化と吸収
糖質を豊富に含む食品として、「米」、「パン」、「麺類」、「いも類」「果物」などが挙げられます。
糖質は唾液中に含まれる「アミラーゼ」という酵素により最初の消化が行われます。米を噛めば噛むほど甘く感じたことはないでしょうか?アミラーゼにより米に含まれるデンプンが消化され、麦芽糖という糖に分解されることから、甘みを感じることができます。
その後、胃腸を通る中で分子レベルの消化が行われ、糖質はやがて「グルコース等の単糖」まで分解されます。小腸から吸収されたグルコースなどは肝臓に取り込まれ、全身のエネルギー源として使われます。また、肝臓や筋肉には糖質が蓄えられていますが、この糖質を「グリコーゲン」といいます。
その3 糖質の必要量
糖質の必要量は個々の活動量によって大きく変化すると考えられています。しかし、活動量が多いアスリートでは一般人の摂取量に比べて、十分な摂取量が必要になります。
一般的に糖質量は体重あたりで摂取量が定められています。一般的にエネルギー消費量が多くなる持久系競技や強度が高い競技で必要量が高くなります。いくつかガイドラインはありますが、多くの競技では体重1kgにつき「5〜7g/日」、持久系競技や高強度の競技では体重1kgにつき「7〜12g/日」と示されています。
◆おわりに
エネルギー不足で運動をすると筋肉の分解が進むことはよく知られています。前回コラムで取り上げた「たんぱく質」をどれだけとっていたとしても十分な「糖質」などのエネルギー源がなければ、筋肉は思うようにはつきません。
今回は1日分の糖質摂取量を示しましたが、短時間のエネルギー回復(例えば試合と試合の間など)を図る場合など、現場では様々な状況があります。ガイドラインには短時間の回復についても示されていますが、本コラムでは割愛致します。不十分な点もありますが、セミナーなどを通じてまたの機会にお話しできればと思います。それでは次回もお楽しみに!!
2018年01月11日 09:30